男性ヘルパーが求められる理由|重度訪問介護という選択

男性ヘルパーが求められる理由|重度訪問介護という選択

調査によると、介護の仕事をしている人のうち男性はおよそ4人に1人。数のうえでは少数派です。

それでも重度訪問介護の現場では、男性の担い手が確かに求められています。人手が足りないから、という理由ではありません。この記事では、その理由を制度と働き方の両面から説明します。

この記事の要点

  • 調査では介護職の男性は約23.6%。少数派なのは事実で、そこは隠しません。
  • 男性ヘルパーが必要なのは、男性の利用者が「男性に介助してほしい」と選べる状態をつくるためです。
  • 力仕事の要員としてではなく、一人の担当者として関わる働き方があります。

1. 介護の仕事をしている男性は、実際どのくらいいるのか

調査では、介護の仕事をしている人のうち男性はおよそ4人に1人です。少数派であることは事実です。ただし、重度訪問介護はこの数字が示す世界とは別の制度の上にあります。

求人サイトを開くと、介護の仕事を紹介するページに並んでいるのは、多くが女性の写真です。職場紹介の記事も、体験談も、女性の声が中心になりがちです。それを見て「自分が入っていっていい場所なのだろうか」と感じたとしても、無理はないと思います。

数字を見ておきましょう。介護労働安定センターが実施した令和6年度介護労働実態調査(労働者調査)では、回答した介護労働者の性別は男性23.6%、女性75.2%でした。おおよそ4人に1人が男性という構成です。

出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」労働者調査回答者の基本属性(2026年8月時点で公表されている最新の調査結果)

この数字は、あなたが感じていた印象とそう違わないはずです。介護の職場で男性は少数派です。そこをごまかす必要はないと考えています。

重度訪問介護は、少し事情が違う

ただし、いま挙げた調査には前提があります。この調査が対象としているのは、介護保険サービスを提供する事業所です。デイサービス、特別養護老人ホーム、介護保険の訪問介護などが含まれます。

一方、CILひかりが提供している重度訪問介護は、介護保険ではなく障害者総合支援法にもとづくサービスです。制度そのものが別で、先ほどの調査の対象には入っていません。つまり、あの23.6%という数字は、重度訪問介護の現場をそのまま表したものではないのです。

では重度訪問介護ではどうなのか。ここから先は、統計ではなく制度と現場の仕組みの話になります。


2. 「人手が足りないから」ではない。男性が必要とされている本当の理由

男性ヘルパーが求められているのは、男性の利用者が「男性に介助してほしい」と選べる状態をつくるためです。頭数の問題ではなく、選択肢の問題です。

誰に介助されるかは、本人が決めること

重度訪問介護は、長い時間をかけて一人の方の生活に寄り添う仕事です。食事、着替え、入浴、排泄。生活のほとんどの場面に、介助者が関わります。

ここで考えてみてください。自分の体に毎日ふれる相手を、自分で選べないとしたらどうでしょうか。着替えを手伝ってもらう相手、トイレに付き添ってもらう相手。それを他人が勝手に決めるとしたら、生活の主導権は誰のものなのか、という話になります。

この点について、制度の側も方向を示しています。令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定にあわせて、各サービスの指定基準の解釈通知に、同性介助についての記述が加わりました。本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等が本人の意向を把握し、その意向を踏まえた提供体制の確保に努めるべきである、という内容です。

出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」(指定基準の解釈通知に係る改正)

これは努力義務として書かれたものです。ただし、どこかで掛け声として言われたわけではなく、事業所が守るべき基準の解釈を示す通知に書き込まれました。本人の意向に沿った体制をつくることが、事業所に求められる方向として示されたということです。

男性の利用者が男性を選べるのは、男性ヘルパーがいる事業所だけ

ここに、男性ヘルパーが必要とされる理由があります。

体制を確保するということは、そこに実際に担い手がいる、ということです。男性の利用者が「男性に介助してほしい」と希望したとします。その希望に応えられるかどうかは、男性のヘルパーがその事業所にいるかどうかで決まります。どれだけ理念を掲げていても、担い手がいなければ、その選択肢は存在しないのと同じです。

CILひかりは完全同性介助を掲げています。男性の利用者の介助は男性が、女性の利用者の介助は女性が担当します。この形をとる以上、男性の担い手は構造的に欠かせません。

つまり男性ヘルパーは、足りない人数を埋めるために採用されているのではありません。利用者が自分の生活の形を選べる状態を保つために必要とされています。あなたが男性であることは、この仕事では補いではなく、支援の質そのものに関わる要素なのです。


3. 「力仕事だから男が呼ばれる」のとは、違う話

男性が評価されるのは力があるからではありません。その日、その人の担当として関わるからです。

すでに介護の仕事をしている男性の方から、こういう感覚を聞くことがあります。重い場面になると自分が呼ばれる。頼られてはいるけれど、それは自分でなくてもよかったのではないか。ありがたがられながら、どこか消耗していく感覚です。

これは、その職場が悪いという話ではありません。多くの人が同じ時間に動く現場では、力のある人に負荷が集まりやすい構造があります。働き方の形が違えば、そこは変わります。

1日1名担当だと、1日の中身が変わる

CILひかりでは、1日に担当する利用者は1名です。複数の家を掛け持ちして回ることはありません。事業所を経由せず、担当する方の自宅へ直接向かい、勤務が終わればそのまま帰る直行直帰です。

この形だと、移動に追われることがありません。そして何より、「重い場面だけ呼ばれる応援要員」にはなりません。その日、その方の生活の流れに、はじめから終わりまで付き合います。何が好きで、どういう順番で一日を過ごしたい人なのか。それが分かってくると、力の使いどころも自然と変わってきます。

見守りの時間があるということ

重度訪問介護には、常に手を動かしているわけではない時間があります。利用者が読書をしている、テレビを見ている、眠っている。その間、介助者は同じ空間にいて、必要になったときに動けるようにしています。

この見守りの時間も、勤務時間として給与の対象になります。手を動かしていない時間があるからといって、楽な仕事だという意味ではありません。何かあればすぐ動く必要があり、そのための集中は続いています。ただ、体力を削り続ける8時間とは、時間の質が違います。


4. 「男性は嫌だ」と言われるのでは、という不安

同性介助を前提にした事業所では、男性ヘルパーは断られる側ではなく、待たれている側になります。

介護の仕事に関心を持った男性から、この不安を聞くことがあります。自分が行って、嫌がられたらどうしよう。体にふれる仕事なのだから、そう思われても仕方ない。そう考えて応募をためらう方は、少なくないと思います。

異性に介助されることへの抵抗は、自然な感情です。それを「わがまま」として扱わないことが、同性介助という考え方の出発点でした。

そして、この前提に立つと景色が反転します。男性の利用者にとって、男性のヘルパーが来ることは安心につながります。あなたが玄関に立つとき、そこにあるのは「男性が来てしまった」という受け止めではなく、男性を希望した方のもとへ向かうという前提です。

同時に、女性の利用者の介助を無理に任されることもありません。断られる不安と、相手に我慢させてしまう申し訳なさ。そのどちらも、体制の側で解いておく。それが完全同性介助という仕組みの意味です。


5. 家族を養えるのか。お金の話を正直に

正社員のモデル月給は273,500円です。ただし、休日の取りやすさには課題も残っています。

転職を考えるとき、やりがいだけでは決められません。特に家族がいる方にとっては、この収入で生活が成り立つのかどうかが最初の関門になります。

月給273,500円というモデルケース

CILひかりの正社員のモデル月給は273,500円です。想定年収はおよそ350万円前後、賞与もあります。ただし、これはあくまでモデルケースとしての金額です。勤務日数や担当する内容によって変わりますので、具体的な条件は募集要項をご確認ください。

見守りの時間も勤務時間として計算される

先ほど触れたとおり、見守りや待機の時間も勤務時間に含まれます。実際に手を動かした分だけが給与になるのではありません。この点は、収入の見通しを立てるうえで大きな違いになります。

休日はシフト制。月8〜10日

正直にお伝えしておきたいことがあります。休日はシフト制で、月8〜10日が目安です。休日数について明確な規定を設けているわけではなく、現状では週休2日を取れていない方もいます。

この点は課題として認識していて、改善に取り組んでいるところです。入ってから話が違うと感じてほしくないので、いまの状態のまま書いています。


6. 鹿児島で、未経験から始めるなら

応募に必要なのは普通自動車免許だけです。介護の資格や経験がなくても始められます。

CILひかりは、鹿児島市上荒田町に事務所を置くNPO法人です。薩摩川内市にも「あかり」という支社があります。応募資格は普通自動車免許のみで、無資格・未経験の方も受け入れています。

未経験から重度訪問介護に従事するための入口のひとつが、重度訪問介護従業者養成研修です。CILひかりでは、この研修を法人が費用を負担する形で修了できます。研修を受けている期間中も、給与は通常どおり支給されます(2026年8月現在)。

入職後は、約2週間の新人研修があります。座学と実技を組み合わせた内容です。障害のある方の地域生活について学ぶ時間や、ボディメカニクス(体の使い方による腰痛対策)の実習などが含まれます。その後、先輩スタッフに同行する研修を経てから、担当を持つ流れです。

慣れるまでの期間には個人差があります。急かされることはありませんし、判断に迷う場面では、コーディネーター(現場とスタッフをつなぐ調整役)に相談できます。


Q. 男性でも未経験から始められますか

A. 始められます。応募に必要なのは普通自動車免許のみで、介護の資格や経験は問いません。重度訪問介護従業者養成研修は法人の負担で修了でき、その後に約2週間の新人研修と同行研修があります。

Q. 男性は夜勤や力仕事ばかりになりませんか

A. CILひかりは1日1名の担当制で、複数の利用者を掛け持ちすることはありません。特定の場面だけ応援に呼ばれる働き方ではなく、その日の生活全体に担当として関わります。

Q. 利用者から男性というだけで断られることはありますか

A. CILひかりは完全同性介助のため、男性スタッフが担当するのは男性の利用者です。男性の介助を希望する方のもとへ伺うことになります。

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