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「介護士エッセイ」”そばにいる”、ということ

そばにいる、ということ──利用者さんの「 […]

そばにいる、ということ──利用者さんの「普通の一日」が教えてくれたこと

重度訪問介護の仕事で大切なのは、何か特別なことができることだけではありません。利用者さんのそばにいて、その人らしい一日を支えることの意味を見つめます。

更新:2026/04/09 所要時間:8分 対象:介護職への転職を検討している方

「できること」より先に求められるもの

介護の仕事をしたいと思ったとき、多くの人がまず考えるのは「自分に何ができるか」ではないでしょうか。

どんな技術が必要なのか。どんな知識を身につければいいのか。難しい病気のある方と関わるとき、自分は役に立てるのか。そうした問いが頭の中をめぐるのは、とても自然なことです。

けれど、重度訪問介護の仕事を見つめていると、利用者さんが一番求めているのは、「できること」よりも先に「いてくれること」なのではないか、と感じる場面があります。

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ポイント:重度訪問介護では、技術や知識だけでなく、その人の生活に安心して寄り添えること自体が大切な支援になります。


川﨑良太さんの暮らしが教えてくれること

川﨑良太さんは、脊髄性筋萎縮症(SMA)という難病を抱えながら、NPO法人の代表として働き、結婚し、子育てもしています。夜は人工呼吸器を着けて眠り、昼間は電動車いすで移動しながら、鹿児島市内のご自宅で暮らしています。

川﨑さんがよく話すのは、「人は決して、自分の力だけで生きていない」という言葉です。

コンビニでおにぎりを買えるのも、誰かが作り、運び、並べてくれているから。電車で遠くへ行けるのも、誰かが設計し、整備し、動かしてくれているから。重度障害のある人が介助を受けながら暮らすことも、そのつながりの中にあるひとつの営みにすぎない、と川﨑さんは語ります。

この考え方に触れると、介助は特別なことではなく、社会の中で人が支え合って生きることの延長線上にあるのだと分かります。

支えることは、特別なことではない

誰かの暮らしを支えることは、社会の中で当たり前に行われている助け合いのひとつです。重度訪問介護も、その自然なつながりの一部です。


上妻龍一さんが取り戻した日常

上妻龍一さんは、長年病院で生活していました。養護学校の小学部から高等部まで、入院しながら通い続け、高校2年のときには重篤な肺炎で生死の境をさまよい、気管切開をして命を取り留めました。その後も、病棟での生活が続きました。

病院では、時間もトイレも、日々の過ごし方も、すべてがルールと管理の中にありました。

そんな上妻さんが2018年11月に退院し、自立生活を始めます。24時間ヘルパーが入る暮らしの中で、自分のペースで、自分の選択で日々を過ごせるようになりました。

退院後の写真には、動物園の前で笑う姿や、川べりで過ごす時間、綿あめを頰張る場面が写っています。何か特別な挑戦をしているわけではありません。好きなときに好きな場所へ行き、好きなものを食べる。その「普通の一日」が、まぶしいほど豊かに見えます。

重度訪問介護の仕事は、こうした日常を支えることにつながっています。


岩坪望さんが取り戻した自分の声

岩坪望さんは、脳性麻痺の当事者で、34歳で施設を出て自立生活を始めました。

最初に大変だったのは、「自分から指示を出すこと」だったといいます。施設にいる間は、起きる時間、食事の時間、入浴の時間など、生活のすべてがすでに決められていました。ヘルパーに「こうしてほしい」と伝える習慣そのものが育ちにくかったのです。

自立生活は、「自己選択・自己決定・自己責任」の連続です。何を食べるか、どこへ行くか、今日は何をするか。多くの人にとって当たり前に思えることでも、それまでの生活では自分で決められなかったことがたくさんあります。

それでも岩坪さんは、ヘルパーとのやりとりを通して、少しずつ自分の希望を言葉にできるようになっていきました。そばにいる人との関係の中で、自分の声を取り戻していったのです。


重度訪問介護は「普通の一日」を支える仕事

重度訪問介護のヘルパーは、利用者さんの「やりたい」を叶えるために動きます。

とはいえ、現場で行われていることは、いつも特別なことばかりではありません。一緒にテレビを見る。本を読む邪魔をしないよう、静かにその場にいる。移動のたびに車いすを押す。食事のたびにそばにいる。そんな一つひとつが、その人の一日を形づくっています。

「いてくれる人がいる」という事実が、外出を可能にし、選択を可能にし、その人らしい生活を支えています。

重度訪問介護は、誰かの人生を劇的に変える派手な仕事ではないかもしれません。しかし、普通に暮らすことを当たり前に支える、とても大きな役割を担っています。

この仕事の本質

重度訪問介護の本質は、利用者さんの生活を奪わないこと、そしてその人が望む日常を続けられるよう支えることにあります。


未経験からこの仕事を考える人へ

介護未経験の方からは、「自分に何ができるか分からない」という声をよく聞きます。それはきっと、とても正直な気持ちです。最初から何でもできる人はいませんし、自分に何ができるのかは、実際に関わる中で少しずつ見えてくるものです。

ただ、こう考えることはできるかもしれません。

上妻さんが病院から出た日、その隣には支える人たちがいました。岩坪さんが自立を決意したとき、「それでいい」と背中を押した人たちがいました。川﨑さんが代表として忙しく動き回る日々にも、いつも誰かがそばにいます。

その人たちは、「いてくれること」を選んでいます。

それはひとつの技術であり、ひとつの覚悟であり、ひとつの仕事のかたちです。

重度訪問介護の仕事や、利用者さんの暮らしについて知りたいと思ったら、まずは「そばにいること」の意味から考えてみてください。そこが、この仕事の出発点です。

Q. 未経験でも重度訪問介護の仕事に挑戦できますか?

A. はい、挑戦できます。最初から完璧にできる人はいません。大切なのは、利用者さんの生活に丁寧に向き合い、そばにいることの意味を学ぼうとする姿勢です。

Q. 重度訪問介護で大切なのは技術だけですか?

A. いいえ。必要な知識や技術はもちろんありますが、それだけではありません。利用者さんの暮らしを尊重し、安心して過ごせるよう寄り添う姿勢も、この仕事ではとても大切です。

Q. どんな人がこの仕事に向いていますか?

A. 相手の話を受け止めながら、目の前の一日を丁寧に支えたいと思える人に向いています。誰かの「普通の暮らし」を支えることにやりがいを感じられる方にぴったりです。

「そばにいる」仕事を、ここから知ってみませんか

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