「見守りが仕事」って本当?重度訪問介護の待機時間のリアル
求人票でよく見る「見守りも勤務時間」の一文。「見ているだけで給料が出るなんて、裏があるのでは?」と身構える方もいるかもしれません。この記事では、見守り・待機の時間に実際なにをしているのか、なぜ給与の対象になるのかを、鹿児島で重度訪問介護を行うCILひかりの現場をもとに正直に解説します。
「見守りが仕事」って、どういうこと?
見守りとは、利用者さんのそばで待機し、必要なときにすぐ動ける状態を保つ仕事です。
重度訪問介護の求人票を見ると、「見守り・待機の時間も勤務時間に含みます」といった一文をよく見かけます。この「見守り」とは、利用者さんが読書やテレビなどで自分の時間を過ごしている間、そばで待機する時間のこと。なにかあれば、すぐに対応できるようにしておきます。
「見守り=何もしない時間」と思われがちですが、そうではありません。利用者さんの様子に気を配り、呼ばれたらすぐ動く。この「いつでも動ける状態でそばにいること」自体が、重度訪問介護では大切な仕事のひとつなのです。
重度訪問介護の仕事全体の流れを先に知りたい方は、1日のスケジュールをまとめた記事もあわせてご覧ください。
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見守りの時間、実際に何をしているの?
利用者さんの時間を邪魔せずそばで待機し、変化に気づいて、呼ばれたらすぐ動きます。
①利用者さんが自分の時間を過ごす間、そばで待機する
利用者さんが昼寝をしていたり、読書や趣味の時間を楽しんでいたりする間、ヘルパーはそばで待機します。この時間の過ごし方は、利用者さんの意向や事業所のルールによってさまざまです。「静かに待っていてほしい」という方もいれば、「一緒にテレビを見て話そう」という方もいます。
「スマホを見ていていいの?」「座っていていいの?」と気になるかもしれません。これも利用者さんとの関係や取り決め次第で、なかには待機中の過ごし方を相談しながら決めていく現場もあります。大切なのは、いつ呼ばれても対応できる状態を保っておくことです。
②小さな変化に気づき、呼ばれたらすぐ動く
見守りは、ただ待っているだけではありません。「いつもより顔色がよくないな」「呼吸が少し苦しそうかな」といった小さな変化に気づくことも、見守りの大事な役割です。長い時間そばで過ごすからこそ、こうした変化に気づけます。
③夜間の見守りの場合
夜勤では、見守りが仕事の中心になります。利用者さんが眠っている間、体位変換(床ずれを防ぐための寝返りのサポート)や水分補給、トイレの介助などを、その方ごとに決められたタイミングで行います。基本は起きて見守りますが、対応の内容は引き継ぎで共有されているため、落ち着いて動けます。
「夜勤はずっと起きているの?」とよく聞かれますが、基本は起きて見守ります(近くで横になり、体を休めることはできます)。だからこそ夜間の見守りも、すべて勤務時間として給与に反映されます。
なぜ「見ているだけ」で給与が出るの?——制度のしくみ
見守りは事業所の温情ではなく、法律上サービスに含まれる正規の支援だからです。
「見ているだけで給料が出るなんて、事業所が損しているのでは?」と思うかもしれません。でも、そうではありません。重度訪問介護は障害者総合支援法という法律に基づくサービスで、その中には「見守り等の支援」がきちんと含まれています。つまり、見守りは制度上も正式な支援行為なのです。
重度訪問介護が長時間のマンツーマン支援を前提としている理由は、この「見守りを含めて、暮らしにずっと寄り添う」ことにあります。短時間で用事だけを済ませて帰る働き方とは、そもそもの設計が違います。
CILひかりでは、この見守り・待機の時間もすべて勤務時間として給与の対象になります(2026年7月現在)。「働いた時間がきちんと収入になる」——これは、効率的に働きたい方にとって見逃せないポイントです。
「見てるだけで給料、なんて後ろめたい」——その気持ちへ
見守りは怠けではありません。そばにいること自体が、利用者さんの安心を支えています。
「見ているだけでお金をもらうなんて、なんだか後ろめたい」——そう感じる方は少なくありません。働くとは汗をかくこと、という感覚が強いほど、待機の時間に給与が出ることに戸惑うかもしれません。
でも、視点を利用者さんの側に移してみてください。もし、そばに誰もいなかったら。体位を変えたいとき、水を飲みたいとき、体調が急に変わったとき。ひとりでは対応が難しい方にとって、「呼べばすぐ来てくれる人がそばにいる」ことは、何にも代えがたい安心です。
見守りは「何もしていない時間」ではなく、「利用者さんが安心して自分の時間を過ごせるように支えている時間」です。あなたがそこにいるからこそ、利用者さんは自分の暮らしを、自分のペースで送ることができます。存在そのものが支援になる——これが見守りという仕事の本質です。
CILひかりの利用者のなかには、ヘルパーの支援を受けながら、種子島から鹿児島市へ出て自立生活を始めた方や、趣味の外出を楽しみながら地域で暮らす方がいます。そうした「自分らしい暮らし」の土台には、いつもそばで見守る誰かの存在があります。
CILひかりは、CIL(自立生活センター=障害のある当事者が運営し、自立生活を支援する団体)の理念で運営されているNPO法人です。大切にしているのは、利用者さんが「自分で決めた暮らし」を送れること。見守りは、その暮らしをそっと下支えする、パートナーとしての役割なのです。
正直に言うと、「ラクなだけ」ではありません
体力的な負担は少ないですが、注意を保ち続ける別種の集中が必要です。
ここまで読んで「思ったよりちゃんとした仕事なんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。ただ、正直にお伝えすると、見守りは「ただラクなだけ」の時間ではありません。
動き回る忙しさはない代わりに、「いつ呼ばれても動ける状態を保つ」という、静かな集中が求められます。気を張り続けるのとは違いますが、まったく気を抜いてよいわけでもない。この「静かに寄り添う」働き方に、最初は独特の感覚を覚える方もいます。
たとえば、利用者さんがうとうとしている時間。何も起きなければ、ただ静かに時間が流れます。それでも「呼吸のリズムはいつも通りか」「体勢はつらくないか」に意識を向けておく。この『何もないことを保つ』ための注意こそが、見守りのプロフェッショナルな部分です。
一方で、この見守りの時間があるからこそ、重度訪問介護は続けやすい仕事だとも言えます。施設介護のように一日中動き続ける働き方に比べ、緩急のあるリズムで働けるからです。体力に不安のある方や、じっくり人と関わりたい方にとっては、むしろ合っている働き方かもしれません。
未経験でも、見守りから現場に慣れていけます
見守り中心の時間があるから、未経験の方も少しずつ現場に慣れていけます。
「介護未経験だと、いきなり難しい対応を求められそうで怖い」——そう感じる方もいるでしょう。でも、見守りの時間があることは、未経験の方にとってむしろ心強い面があります。利用者さんと一緒に過ごしながら、その方のことを少しずつ知り、現場の空気に慣れていけるからです。
CILひかりでは、応募に必要なのは普通自動車免許のみ。重度訪問介護従業者養成研修は、入職後に法人の負担で修了できます。約2週間の新人研修と先輩との同行研修を経てから独り立ちする流れです。いきなりひとりで現場に出ることはありません。
建築業界から転職した主任コーディネーターの北田雄希さんも、未経験からのスタートでした。最初の不安をどう乗り越えたのか、スタッフインタビューで語られています。
Q. 見守りの時間は、スマホを見たり本を読んだりしてもいいですか?
A. 利用者さんの意向や事業所のルールによって異なります。待機中の過ごし方を相談しながら決めていく現場もあります。共通して大切なのは、いつ呼ばれてもすぐに対応できる状態を保っておくことです。
Q. 見守りだけの時間も、本当に給料は出ますか?
A. はい。重度訪問介護では見守り・待機も法律上のサービスに含まれます。CILひかりではこの時間もすべて勤務時間として、給与の対象になります(2026年7月現在)。
Q. 見ているだけだと、時間が経つのが遅くて退屈しませんか?
A. 利用者さんと会話をしたり、一緒にテレビを見たりと、過ごし方はさまざまです。長い時間をともに過ごすうちに信頼関係が深まります。「退屈」というより「その人の暮らしに寄り添う時間」だと感じるスタッフが多いです。