福祉体験学習レポート|CILひかりが地域の学校で伝えたこと
2026年6月、CILひかりの当事者スタッフとヘルパーが、鹿児島市内の専門学校と小学校の2か所で福祉体験学習を行いました。学生や子どもたちが介助・車いす・移動を体験し、当事者の暮らしに触れた2日間の様子を、写真とともにお伝えします。
CILひかりが学校で福祉体験学習を行う理由
CILひかりは、重度の障害がある方の「自分らしい暮らし」を支える重度訪問介護のNPO法人です。私たちが大切にしているのは、CIL(自立生活センター)という考え方。障害のある人を「支援される人」としてではなく、「自分の人生を自分で選び、決めていく主体」として捉える理念です。
この考え方は、現場での介助だけで完結するものではありません。地域の人がどれだけ障害のある暮らしを身近に感じられるかは、当事者が街で暮らしやすくなるかどうかに直結します。だからこそ、当事者スタッフが自ら学校に出向き、自分の言葉で暮らしを伝えることに意味があります。
今回の福祉体験学習も、そんな取り組みのひとつ。CILひかりの代表をはじめとする当事者スタッフとヘルパーが、専門学校と小学校の2か所を訪ねました。
専門学校での体験学習(6/9・学生19名)
6月9日、鹿児島情報ビジネス公務員専門学校で、学生19名を対象に90分の体験学習を行いました。この日は、当事者スタッフとヘルパー、総勢14名で伺いました。



5つの体験メニュー
この日は、5つの体験を用意しました。
- 着脱介助(衣服の着替えを手伝う)
- 飲料介助(飲み物を口元へ運ぶ)
- リフト移動介助(リフトという機器で体を持ち上げて移動する)
- 電動車いすの操作体験
- 声を出さずに、口の動きだけで言葉を伝え合う体験
学生のみなさんは数人ずつのグループに分かれ、順番に挑戦しました。



当日の様子
グループで取り組んだことで、一人で進めるよりも「こうかな?」「ちょっと違うかも」と話し合いながら、試行錯誤する姿が見られました。
着ること、飲むこと——ふだんは当たり前にしている動作も、立場が変わると時間がかかり、工夫が必要になります。その気づきが、参加者の表情からも伝わってきました。体験中は「すごい!」「楽しい!」「おもしろい!」という素直な声が飛び交い、和やかな空気のなかで進みました。



参加した学生の声
- 「初めての体験で、すべてがとても良い勉強になりました」
- 「いつ自分が介助をする立場になるか分からないと思いました。介助される立場は今はまだ想像しにくいけれど、この経験を生かしたいです」
- 「リフト移動は急に降りると思っていましたが、とてもソフトで安心感がありました。声をかけながら行うことで、信頼関係がつくられると感じました」
- 「電動車いすの速度に驚きました。車の運転に似ていたので、それをイメージして操作しました。健常者と並んで歩けるのがすごいと思いました」












南小学校での体験学習(6/10・小4・48名)
翌6月10日には、鹿児島市立南小学校で、4年生48名を対象に45分の体験学習を行いました。こちらは、当事者スタッフとヘルパー、総勢13名で伺いました。



当事者スタッフが語った「暮らしのリアル」
小学校では、当事者スタッフが自分の言葉で日常生活を話しました。伝えたのは、次のようなことです。
- 自分の障害と、ふだんの暮らしの様子
- 困ること・バリア(段差、乗り物、まわりの視線など)
- まわりの人にしてほしいこと(声をかけてほしい、急に車いすを押さないでほしい、など)
子どもたちは興味深そうに耳を傾け、熱心にメモを取る姿が多く見られました。車いすの絵を一生懸命に描く子もいました。
車いす体験(手動・電動)
お話のあとは、手動・電動の車いす体験です。子どもたちはとても積極的に参加してくれました。



子どもたちの声
- 「車いすの高さを変えられたり、手動と電動で機能がちがったりして、びっくりしました」
- 「思っていたよりスピードが出ると思いました」
- 「車いすの競争が楽しかったです」
- 「ヘルパーさんの大切さを感じました。ヘルパーさんがいると、何でもできると思いました」









体験学習を通して、CILひかりが伝えたいこと
2日間の体験学習を通して、学生や子どもたちが感じてくれたこと。それは、「できない」を「できる」に変えるのは特別な力ではなく、声かけや工夫、そして人と人との関係なのだということでした。
リフト移動で「声をかけてもらえると安心する」と気づいた学生さん。「ヘルパーさんがいると何でもできる」と話してくれた小学生。どちらも、CILひかりが日々大切にしていることと、まっすぐ重なります。
ポイント:重度訪問介護は、誰かの代わりに何かを「してあげる」仕事ではありません。利用者が自分で決めた暮らしを、となりで一緒につくっていく仕事です。
そしてその役割は、利用者の自宅にとどまらず、こうして地域に開いていくところまで広がっています。CILひかりでは、当事者と一緒に「自分らしく生きられる地域」をつくっていく仲間を募集しています。介護の経験がなくても大丈夫です。先輩スタッフの歩みはインタビューでも紹介しています。まずは、私たちの働き方をのぞいてみませんか。