重度訪問介護で取れる資格は?キャリアアップの道筋を解説

重度訪問介護で取れる資格は?キャリアアップの道筋を解説

「無資格OK」と「資格必須」が同じページに並ぶ謎、4課程の研修の違い、医療的ケアまで担う道、サ責・管理者・当事者主体支援の3つのキャリアパスを、出典つきで丁寧に整理します。

更新:2026/05/20
所要時間:10分
対象:重度訪問介護の資格とキャリアの全体像を知りたい方

「重度訪問介護で働きたいけれど、どの資格を取れば良いのかわからない」――そう感じている方は、求人サイトや解説記事を読み比べる中で、「無資格OK」と「重度訪問介護従業者養成研修が必須」が同じページに並んでいて混乱したかもしれません。重度訪問介護で働くために必要な資格は、実は一通りではなく、目的や経験に応じて複数の選択肢があります。

この記事では、重度訪問介護で従事できる資格の全体像、それぞれの取得方法、そして取った後のキャリアアップの道筋までを、整理してお伝えします。介護未経験から始める方も、すでに介護施設で経験を積んでこられた方も、ご自身の状況に合った進み方が見えてくる内容です。

執筆にあたっては、CILひかり(鹿児島・特定非営利活動法人)が2003年の設立以来、20年以上にわたって障害者の自立生活を支えてきた現場の視点を踏まえています。資格の話だけでなく、「資格を取る前にどこで働くかを決める」という視点もご紹介します。


重度訪問介護で働くために必要な資格の全体像

重度訪問介護のヘルパーとして働くためには、原則として国や都道府県が定めた研修の修了、または所定の介護資格が必要です。ただし、求人広告で「無資格OK」と書かれていることがあるのも事実で、これは「入社後に法人の負担で資格を取得できる」という意味で使われています。

「無資格OK」と「資格必須」が両立する理由

「無資格OK」という表記は、応募時点で資格を持っていなくても応募できることを意味します。一方で「資格必須」という表記は、業務開始時点で資格を持っている必要があることを意味します。両者は矛盾しているように見えて、実は時間軸が異なる話です。

CILひかりのように、入社後に「重度訪問介護従業者研修」を法人が実施し、研修中も給与を支払う仕組みを整えている事業所では、応募時点では無資格でも、研修修了後にスムーズに現場に出られます。

従事できる5つの資格と、その関係

重度訪問介護で従事できる主な資格は、次の5つです。

  • 重度訪問介護従業者養成研修:基礎課程/追加課程/統合課程/行動障害支援課程
  • 介護職員初任者研修:旧ホームヘルパー2級の後継
  • 介護福祉士実務者研修
  • 介護福祉士:国家資格
  • 居宅介護職員初任者研修

これらの資格を1つでも持っていれば、制度上は重度訪問介護に従事できます。ただし、事業所によっては「重度訪問介護従業者養成研修の受講」を別途求める場合もあります(出典:けあタスケル「重度訪問介護で働くために必要な資格は?」)。

まず押さえるべき「重度訪問介護従業者養成研修」とは

未経験から重度訪問介護に入る方が最初に取得することの多い研修が「重度訪問介護従業者養成研修」です。年齢・学歴・職歴の制限がなく、誰でも受講できます。各都道府県が指定した研修事業所(NPO法人・社会福祉法人・介護事業所など)で開講されており、地域によって開催場所は異なります。

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ポイント:「無資格OK」と「資格必須」は時間軸の違いです。応募時に資格がなくても、入社後に法人サポートで資格を取得できる事業所を選べば、費用面・時間面の負担を抑えられます。


重度訪問介護従業者養成研修の4課程を整理する

重度訪問介護従業者養成研修は、対応できる利用者さんの障害支援区分や、医療的ケアの可否によって、4つの課程に分かれています。それぞれの違いを整理しておきましょう。

基礎課程・追加課程・統合課程・行動障害支援課程の違い

  • 基礎課程:障害支援区分4〜5の方への身体介護・家事援助
  • 追加課程:障害支援区分6の方への対応(基礎課程の修了が前提)
  • 統合課程:基礎+追加に加え、喀痰吸引・経管栄養等の医療的ケアの基本研修を含む
  • 行動障害支援課程:重度の知的障害・精神障害があり行動上著しい困難を有する方への支援

重度訪問介護の利用者さんは、障害支援区分6の方が約85%を占めるとされています(出典:厚生労働省「重度訪問介護に係る報酬・基準について」令和5年)。そのため、現場で長く働くことを考えるなら、基礎+追加の両方、または最初から統合課程を選ぶ方が実用的です。

時間数・費用・受講要件のリアル

研修時間の最低基準は厚生労働省が定めており、基礎課程は10時間(講義3時間+実習7時間)、追加課程は10時間(講義7時間+実習3時間)が目安です。統合課程は両方の内容に喀痰吸引等の基本研修が加わり、研修事業所によっては最短3日間で修了可能な日程が組まれています(出典:土屋ケアカレッジ 重度訪問介護従業者養成研修統合課程ページ)。

費用相場は、研修事業所ごとに異なりますが、基礎課程と追加課程でそれぞれ約1.5〜2万円、統合課程で約3万円程度とされています(出典:ホームケア土屋)。受講要件は基本的になく、未経験・無資格の方でも受講できます。

どの課程から始めるべきか

すぐに現場で働き始めたい方は、統合課程をまとめて受けるのが効率的です。基礎課程だけでは障害支援区分6の方に対応できないため、現場での担当範囲が限られる場合があるからです。一方、医療的ケアが現時点で不要な現場で働く予定であれば、基礎+追加の組み合わせで十分なケースもあります。

事業所が研修を法人として実施している場合は、その事業所が想定する利用者さんに合わせた課程を受講できるよう案内してくれることが多いため、就職予定先に確認するのが確実です。

課程選びの実用ポイント

重度訪問介護の利用者さんは障害支援区分6が約85%。長く働くことを考えるなら、基礎課程だけでなく追加課程まで、できれば統合課程までを視野に入れておくと、担当できる利用者さんの幅が広がります。


既に介護資格を持っている人は、どう活かせるのか

介護施設で働いてきた方や、既に介護関連の資格をお持ちの方にとって、「これまでの経験は重度訪問介護で活きるのか」は気になるところでしょう。結論からお伝えすると、制度上は活かせますし、現場でも歓迎されるケースが多いです。

介護職員初任者研修・実務者研修修了者の場合

介護職員初任者研修または介護福祉士実務者研修を修了している方は、制度上、重度訪問介護に従事できます。重度訪問介護従業者養成研修を改めて受講する必要はありません。

ただし、事業所の方針として「重度障害への理解を深めるため、任意で重度訪問介護従業者養成研修を受けてほしい」と求められることもあります。これは追加負担ではなく、現場で安心して働くための準備として捉えると良いでしょう。

介護福祉士の場合(サービス提供責任者の道)

介護福祉士の国家資格をお持ちの方は、重度訪問介護で従事できることに加えて、サービス提供責任者として働く要件を満たします。サービス提供責任者は訪問介護計画書の作成、ヘルパーの手配、利用者さんとそのご家族の相談対応など、事業所運営の中核を担う役職です(出典:マイナビ介護職「キャリアアップに役立つ資格」)。

実務者研修修了者の場合、3年以上の実務経験を積むことでサービス提供責任者の要件を満たせるケースもあります。

介護施設での経験は、重度訪問介護でどう評価されるか

介護施設で5年、10年と経験を積んできた方が重度訪問介護に転職する場合、「ゼロからやり直し」になるわけではありません。身体介護の基本技術、利用者さんとのコミュニケーション、記録の書き方など、共通する基礎は多くあります。

一方で、重度訪問介護は介護保険ではなく障害者総合支援法に基づくサービスです。利用者の年齢層、生活スタイル、支援の哲学が施設介護とは大きく異なります。特に「自立生活センター」系の事業所では、「ケアする側/される側」という関係ではなく、「利用者の決定を支えるパートナー」としての姿勢が求められます。経験は活きますが、新しい価値観に出会うことも多い、というのが実態です。


医療的ケアまで対応するキャリアと、喀痰吸引等研修

重度訪問介護の利用者さんの中には、人工呼吸器の使用や経管栄養を必要とする方もいらっしゃいます。こうした医療的ケアまで担えるようになるには、追加の研修と認定が必要です。

統合課程と喀痰吸引等研修(第3号研修)の関係

重度訪問介護従業者養成研修の「統合課程」を修了すると、喀痰吸引(痰の吸引)と経管栄養の基本研修部分を学んだことになります。ただし、これだけでは実際の利用者さんに対して医療的ケアを実施できません。

統合課程の修了後、看護師等の指導のもとで「実地研修」を受け、合格した後に都道府県へ申請して「認定特定行為業務従事者」として登録される必要があります。さらに、勤務先の事業所が「登録特定行為事業者」として都道府県に登録していることも条件です(出典:土屋ケアカレッジ 統合課程ページ)。

医療的ケアができるようになるまでのステップ

医療的ケアの実施までの流れを整理すると、次のようになります。

  • ステップ1:重度訪問介護従業者養成研修 統合課程の修了(基本研修)
  • ステップ2:特定の利用者さんに対する実地研修(指導看護師の指導下)
  • ステップ3:都道府県への申請、認定特定行為業務従事者として認定
  • ステップ4:勤務先事業所が登録特定行為事業者として都道府県登録済であること
  • ステップ5:認定された行為(喀痰吸引・経管栄養等)を、認定された利用者さんに対してのみ実施可能

「研修を修了すれば誰にでも医療的ケアができる」わけではない点に注意が必要です。特定の利用者さんに対して、決められた範囲で実施するのが原則です。

医療的ケアを担うことのキャリア上の意味

医療的ケアまで対応できるヘルパーは、業界全体で需要が高まっています。人工呼吸器を使用している方の在宅生活を支えるには、24時間体制での見守りと、突発的な事態への対応力が求められるからです。

医療的ケアを担うことは、専門性を高めるという意味でキャリアアップの一つの選択肢です。同時に、責任の大きさと向き合うことでもあるため、自分の適性と事業所のサポート体制を見極めたうえで取り組むことをおすすめします。

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注意:医療的ケアは「特定の利用者さんに対して、決められた範囲で実施する」のが原則です。研修修了=誰にでも実施可能、ではありません。


重度訪問介護のキャリアアップ、3つの道筋

重度訪問介護で経験を積んだ後のキャリアアップには、いくつかの選択肢があります。「肩書が上がる」「給与が上がる」という縦のキャリアだけでなく、専門性を深めるキャリアもあります。

道筋1:サービス提供責任者を目指す

最も一般的なキャリアアップルートが、サービス提供責任者(通称:サ責)です。介護福祉士、実務者研修修了者、または居宅介護職員初任者研修修了者で実務経験3年以上などの要件を満たすことで、サービス提供責任者として任用される道が開けます(出典:ウェルミーマガジン「重度訪問介護の資格を徹底解説」)。

サ責になると、訪問介護計画書の作成、ヘルパーへの指導、利用者さんやご家族との連絡調整など、事業所運営の中核を担います。資格手当が支給されるケースもあります。

道筋2:管理者・コーディネーターとして事業所を支える

事業所の管理者やコーディネーターは、ヘルパーのシフト管理、新人教育、利用者さんとのマッチングなど、現場全体を見る役割です。介護現場での経験に加え、マネジメントの視点と、複数の利害関係者を調整する力が必要になります。

CILひかりでも、主任コーディネーター・コーディネーター・アシスタントコーディネーターという役職段階があり、現場で経験を積んだ方が運営側に回るキャリアパスが整っています(出典:CILひかり公式サイト スタッフ紹介)。

道筋3:当事者主体の支援を深める「もう一つのキャリア」

「肩書」や「役職」とは別の軸として、「当事者主体の支援を深める」というキャリアの捉え方もあります。これは自立生活センター(CIL)系の事業所で重視される考え方です。

CILの理念では、ヘルパーは「サービス提供者」ではなく「利用者の決定を支えるパートナー」と位置づけられます。長く同じ利用者さんを担当し、その方の自立生活を共に築いていくこと自体が、専門性であり、キャリアの中身になります(出典:自立生活センター・立川「歴史」ほか)。

2軸でキャリアを考える

肩書を上げるキャリア(サ責・管理者)と、専門性を深めるキャリア(当事者主体の支援)。両方を視野に入れることで、ご自身に合った道筋が見えてきます。


資格を取る「前に」考えておきたい、事業所選びの視点

ここまで資格と研修の話をしてきましたが、実はもう一つ、検討に入れていただきたい視点があります。それは「資格を取る前に、どこで働くかを決める」というアプローチです。

なぜ「どこで働くか」を先に決めるべきなのか

資格取得スクールに自分で申し込み、費用を払って研修を受ける――これは確実な方法ですが、唯一の方法ではありません。多くの重度訪問介護事業所は、人材確保のために「入社後に法人が研修を実施し、研修中も給与を支払う」仕組みを整えています。

つまり、先に事業所を決めれば、資格取得の費用と手間が大幅に軽減される可能性があるということです。さらに、事業所が想定する利用者さんに合わせた研修を受けられるため、研修内容と現場の業務が直結します。

CIL系事業所と一般事業所、理念の違い

重度訪問介護を提供する事業所には、大きく分けて2つの系統があります。

一つは「自立生活センター(CIL)系」の事業所です。1972年にアメリカ・カリフォルニア州バークレーで生まれた自立生活運動を起源とし、障害当事者が中心となって運営する事業所が多くあります。「自己選択・自己決定」を支える支援が特徴です。

もう一つは「株式会社・一般法人系」の事業所です。事業として重度訪問介護を展開し、効率性や規模拡大を重視する場合もあれば、地域に根ざした運営を行う場合もあります。

どちらが優れているという話ではなく、ご自身の価値観に合う事業所を選ぶことが、長く働くための土台になります。

法人が資格取得をサポートする仕組みのメリット

法人が研修を実施する仕組みのメリットは、費用負担の軽減だけではありません。研修を一緒に受ける同期ができ、先輩スタッフが講師を務めるため、入社後に困ったときに相談できる関係が研修中から作られます。また、研修中も給与が支払われるため、生活への不安を抱えずに学べます。

CILひかりでも、重度訪問介護従業者研修を法人として実施しており、入社後に取得できる仕組みを整えています(出典:CILひかり公式サイト 採用情報)。


鹿児島で重度訪問介護のキャリアを積むということ

鹿児島で重度訪問介護のキャリアを考えている方に向けて、地域に根ざした働き方の具体例として、CILひかりの取り組みをご紹介します。

CILひかりの法人内研修サポート

CILひかりは、鹿児島市上荒田町に本部を置き、薩摩川内市にも事業所を構えるNPO法人です。スタッフの約8割が未経験から介護の仕事をスタートしており、入社後に重度訪問介護従業者研修を法人として実施しています。研修中も給与が支払われ、研修費用は法人負担です(出典:CILひかり公式サイト 採用情報)。

研修内容には、座学による制度理解、障害当事者の話を直接聞く時間、車椅子で実際に外出する体験、ボディメカニクス(腰痛を防ぐ体の使い方)などが含まれます。研修修了後も、先輩スタッフが利用者さん宅へ同行し、実地での学びをサポートする体制があります。

1日1名担当・同性介助・見守り時間という働き方の土台

CILひかりの現場には、長く続けるための3つの土台があります。1日に担当する利用者さんは1名のみで、複数の方を掛け持ちすることはありません。同性介助を基本方針として明示しており、男性スタッフは男性利用者さんを、女性スタッフは女性利用者さんを担当します。見守り時間も勤務時間としてカウントされるため、忙しく動き続けていなくても給与の対象になります。

これらの土台があることで、ヘルパーは一人の利用者さんと深く関わりながら、無理のないペースで働くことができます。

育児・ライフイベントと両立できるキャリアの作り方

長く働くためには、育児や介護、引っ越しなどのライフイベントとの両立も大切です。CILひかりでは、女性2名・男性3名の育休取得実績があります。直行直帰の働き方を採用しているため、子どもの送り迎えに合わせたシフト調整も相談しやすい環境です。

地方都市で介護のキャリアを長く続けたい方にとって、地域に根ざした事業所で働く選択肢は、検討する価値のあるものです。


次の一歩を踏み出すために

ここまで読んでくださった方の中には、「自分にも進める道がありそうだ」と感じ始めた方もいらっしゃるかもしれません。最後に、次の一歩を踏み出すための具体的な方法をお伝えします。

資格取得から始めるか、就職から始めるか

「まず資格を取ってから就職を考える」のも一つの道ですが、「先に就職を決めて、入社後に法人サポートで資格を取得する」のも合理的な選択です。費用面・時間面の負担を考えると、後者のほうが経済的な場合も多くあります。どちらが正解ということはなく、ご自身のスケジュールと資金状況に合わせて選んでいただければと思います。

CILひかりへの問い合わせ・見学のご案内

CILひかりでは、応募を考えている方からの問い合わせや相談を受け付けています。「自分の経験で重度訪問介護に入れるか不安」「資格取得のサポートの詳細を知りたい」「鹿児島でのキャリアを具体的に検討したい」――どんな段階のご相談でも構いません。電話やWebエントリーフォームから、お気軽にご連絡ください。


出典

資格取得もキャリアアップも、CILひかりが一緒に考えます

重度訪問介護従業者研修は法人で実施し、研修費用は法人負担。スタッフの約8割が未経験スタートで、サ責・コーディネーターへのキャリアパスも整っています。鹿児島で重度訪問介護のキャリアを築きたい方は、まずは募集要項をご覧ください。お電話(099-252-8441/月〜金 9時〜18時)でのご相談も歓迎です。


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