重度訪問介護の夜勤とは?施設との違いと夜の過ごし方
「夜勤あり」の文字を見て、応募をためらっていませんか。重度訪問介護の夜は、施設の夜勤とは仕組みが大きく異なります。何をしているのか、給与はどうなるのか、鹿児島で働くCILひかりの現場からお伝えします。
「夜勤」という言葉が、この仕事では少しずれている
求人票で「夜勤あり」の四文字を見たとき、頭に浮かぶ光景は人それぞれだと思います。施設で働いた経験がある方なら、あの夜を思い出すかもしれません。介護未経験の方なら、想像がつかなくて手が止まっているかもしれません。
結論からお伝えします。重度訪問介護の夜は、施設の夜勤とは仕組みそのものが違います。同じ「夜勤」という言葉で呼ばれていますが、中身は別のものだと考えていただいたほうが近いです。
施設の夜勤は「動き続ける夜」
特別養護老人ホームや有料老人ホームの夜勤を経験された方は、こんな夜を過ごしてこられたのではないでしょうか。フロアに入居者が数十名。夜勤者は一人か二人。定時の巡回に回り、記録を書き、ナースコールが鳴れば居室へ向かう。ひとつ対応が終われば、次の対応が待っている。
複数の方を少人数で見る構造である以上、夜通し動き続けることになります。時間に追われる感覚は、施設で夜勤を経験された方であれば、説明しなくても伝わるはずです。
重度訪問介護の夜は、担当するのは1名だけ
一方、重度訪問介護は、利用者さんのご自宅へ介助者が伺うかたちの仕事です。CILひかりでは1日に担当するのは1名のみで、複数の方を掛け持ちすることはありません。これは夜も同じです。
つまり、夜のあいだ向き合うのは一人の方の生活だけということになります。フロアを巡回することも、複数のコールに追われることもありません。担当する方が眠っているあいだ、介助者はそばにいて、体位交換などの必要が生じたときに動く。それが夜の基本的なかたちです。
施設の夜勤と、重度訪問介護の夜
施設の夜勤は、複数の入居者を少人数で見守り、巡回と記録とコール対応が続く「動き続ける夜」です。重度訪問介護の夜は、担当する1名のご自宅で、その方の生活時間に寄り添う夜です。人数の違いが、そのまま働き方の違いになっています。
「夜勤」より「その方の夜に付き添う」が実態に近い
誤解のないようお伝えすると、これは「楽な夜」という意味ではありません。人の暮らしの場で夜を過ごすということには、施設とは別種の緊張感があります。
ただ、多くの方が「夜勤」と聞いて思い浮かべる、走り回るような働き方とは違います。「夜勤に入る」というより「その方の夜に付き添う」。この表現のほうが、実態に近いと私たちは考えています。
重度訪問介護そのものの仕組みについては、仕事内容のページでも詳しくご紹介しています。
夜の時間に、何をしているのか
では、その夜のあいだ、具体的に何をしているのか。ここが最も想像しにくい部分だと思います。
体位交換などの介助が中心になります
重度の障害があり、ご自分で体を動かすことが難しい方の場合、同じ姿勢が続くと体に負担がかかります。そのため、一定の時間ごとに体の向きを変える介助が必要になります。これが夜の介助の中心です。
ほかにも、水分を摂りたいとき、体勢を整えてほしいとき、トイレの介助が必要なとき。呼ばれれば動きますし、必要がなければそばにいます。日中と違って外出や調理の介助はありませんから、業務の種類そのものは少なくなります。
見守りの時間も、勤務時間に含まれます
「呼ばれるまで待っている時間は、給与が出ないのでは」と心配される方がいらっしゃいます。CILひかりでは、見守りの時間も勤務時間として扱っています。夜だからといって、この扱いが変わることはありません。
ポイント:見守りは「何もしていない時間」ではありません。その方が安心して眠れる状態を保つこと自体が、重度訪問介護の中心的な役割のひとつです。
医療的ケアは、認定を受けたスタッフが担当します
利用者さんによっては、夜間にたんの吸引などの医療的ケアが必要な場面もあります。ここは正確にお伝えしておきたい部分です。
たんの吸引や経管栄養は、誰でも行えるものではありません。所定の研修(喀痰吸引等研修)を修了し、都道府県から「認定特定行為業務従事者」としての認定を受けたスタッフが担当します。あわせて、事業所側も登録を受けている必要があります。
さらに、重度の障害がある特定の方を対象とする第3号研修では、担当する利用者さんが変われば、その方に対する研修と認定を改めて受ける仕組みになっています。「一度資格を取れば誰にでも行える」というものではないのです。
ですから、入職してすぐに医療的ケアを任されることはありません。まずは日々の生活の介助から始めていただきます。
資格や研修の全体像については、重度訪問介護の資格についての記事もあわせてご覧ください。
夜中に何かあったら、一人で判断するのか
夜勤への不安として、最も多く挙がるのがこの点です。日中と違って、周りに人がいない。何かあったとき、自分一人で判断しなければならないのではないか。この不安は、とてもよくわかります。
一人で抱え込む体制にはなっていません
重度訪問介護の事業所では、夜間に何かがあったときに管理者や上長へすぐ連絡が取れる体制を整えているのが一般的です。CILひかりも同様に、夜間に判断に迷う場面が生じたとき、介助者が一人で結論を出さなければならない構造にはしていません。
体調に気になる変化があったとき、いつもと様子が違うと感じたとき。まず連絡をする。その判断でかまいません。「これくらいで連絡してよいのだろうか」と迷った時点で、連絡してよい場面だと考えていただければと思います。
ご本人が、いちばんよく知っています
もうひとつ、施設との大きな違いがあります。重度訪問介護で支援するのは、ご自分の意思で暮らしを組み立てている方々です。ご自分の体のこと、いつもと違う感覚、どうしてほしいか。誰よりもよく知っているのはご本人です。
介助者が一人ですべてを判断するのではなく、ご本人の言葉を聞きながら一緒に決めていく。CILひかりが大切にしている「自己選択・自己決定」という考え方は、夜の時間にも同じように流れています。
実際の夜の流れは、利用者さんごとに異なります
ここまで一般的なかたちをご説明してきましたが、実際の夜の過ごし方は、利用者さんお一人おひとりで異なります。生活のリズムも、必要な介助も、ご本人の希望も違うためです。
この記事で書けるのはここまでです。具体的な夜の流れについては、見学や面接の際に担当者から直接ご説明します。気になる点は、その場で遠慮なくお聞きください。実際に働いているスタッフの声は、スタッフインタビューでもご覧いただけます。
夜勤に入ると、給与はどうなるのか
生活がかかっている以上、ここは率直に確認したい部分だと思います。制度として決まっていることと、事業所によって異なることを分けてご説明します。
深夜帯の割増は、法律で定められています
労働基準法第37条により、午後10時から翌午前5時までの労働には、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務づけられています。これは雇用形態にかかわらず適用される決まりで、事業所の判断で省略できるものではありません。
「22時から5時まで」という時間帯は法律で固定されています。会社ごとのシフトの区切り方に左右されるものではない、という点も押さえておいてください。
「深夜手当」と「夜勤手当」は別のものです
混同されやすいのですが、この2つは性質が異なります。
2つの手当の違い
深夜手当:労働基準法で定められた割増賃金。22時〜翌5時の労働に対し、25%以上の支払いが法律上の義務です。
夜勤手当:夜勤に対する労いとして、事業所が独自に設定する手当です。金額や有無は事業所ごとに異なります。
求人票を比較される際は、この2つが分けて書かれているかを見ていただくと、実際の手取りが見えやすくなります。
CILひかりの給与モデル
CILひかりの正社員は、月給273,500円をモデルケースとしてお示ししています(2026年時点)。経験や資格、勤務状況によって金額は異なります。見守りの時間も勤務時間として算入されるため、夜間の待機が給与に反映されない、ということはありません。
賞与の支給もあります。具体的な条件や勤務時間帯については、募集要項(正社員)をご確認ください。
夜勤明けの体を、どう守るか
夜勤で続かなくなる理由として多いのは、仕事そのものより「生活リズムが戻らないこと」です。ここには、重度訪問介護の働き方が構造的に効いてきます。
直行直帰だから、終わればそのまま帰れます
CILひかりは直行直帰です。利用者さんのご自宅へ直接向かい、勤務が終わればそのまま帰宅します。夜勤明けに事業所へ立ち寄って報告する必要はありません。
わずかな差に思えるかもしれませんが、疲れた体で30分の移動が挟まるかどうかは、回復にはっきり差が出ます。夜勤明けの朝、まっすぐ帰って休める。この積み重ねが、続けられるかどうかを分けます。
1日1名担当だから、掛け持ちの移動がありません
1件の介助が終わるたびに次の家へ移動する働き方では、移動そのものが疲労になります。CILひかりは1日1名担当ですから、勤務中に別のお宅へ移動することがありません。
この働き方については、重度訪問介護と訪問介護の違いをまとめた記事でも詳しくご説明しています。
シフトの入り方は、人によって異なります
夜勤に月何回入るかは、一律ではありません。ご本人の希望、担当する利用者さんの状況、他のスタッフとの調整によって変わります。
「夜勤は難しい」「夜勤を多めに入りたい」といったご希望は、面接の際にお聞かせください。無理のない範囲で調整していく前提で組んでいます。CILひかりでは2026年時点で有給の承認率100%を維持しており、休日はシフト制で月8〜10日です。休日数について規定を設けていないため、現状では週休2日を取れていないスタッフもいますが、改善に取り組んでいます。
正直にお伝えすると、夜勤が誰にとっても向いているわけではありません。ただ、夜という時間帯だけを理由に応募を諦める前に、この記事でご紹介した仕組みの違いを知っていただけたらと思います。
まとめ
重度訪問介護の夜は、施設の夜勤とは仕組みが異なります。担当するのは1名で、その方の生活の場で、眠っているあいだの必要に応じて動く。「夜勤」というより「その方の夜に付き添う」時間です。
夜中に何かあっても、一人で抱え込む体制にはなっていません。深夜帯の割増は法律で定められており、見守りの時間も勤務時間です。直行直帰と1日1名担当という働き方は、夜勤明けの体にも効いてきます。
そして、具体的な夜の流れは利用者さんごとに違います。そこは、ぜひ直接お聞きください。
Q. 夜勤は未経験でも入れますか?
A. 未経験の方がいきなり夜勤に入ることはありません。CILひかりでは約2週間の新人研修と、先輩スタッフが利用者さんのお宅へ同行する研修を経てから現場に入っていただきます。夜勤に入る時期についても、ご本人の状況を見ながら相談して決めていきます。
Q. 夜勤には必ず入らないといけませんか?
A. シフトの入り方は、ご本人の希望と担当する利用者さんの状況によって調整します。夜勤の回数について不安がある場合は、面接の際にお聞かせください。非常勤という働き方もございますので、あわせてご相談いただけます。
Q. 夜勤中の医療的ケアは、入職してすぐに担当しますか?
A. たんの吸引などの医療的ケアは、所定の研修を修了し、都道府県から認定を受けたスタッフが担当します。この認定は担当する利用者さんごとに取得するもので、入職してすぐに任されることはありません。まずは日々の生活の介助から始めていただきます。